Riz et Viande 日々是甘味

東京・パリ。ひねもす読書人間のフランス移住日記

«Udon quotidien» 手打ちうどん生活。

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気がついたら三日坊主となっていた。

こちらでの初仕事にバカンスに引越しにノエルにまたバカンスに… 自分のことだけでいっぱいだったこともあり、フランスの友人知人がみなオンライン活動に熱心でないこともあり。一緒にいると楽しくて美味しくてテーブルの上の写真を撮ることなど微塵も思い浮かばない。

なるべくして空いたこの間一年弱、物騒な話題に事欠かない状況ではあるけれど割に順調しごく平穏な日々を送っていることをありがたく思う。

 

さて、我が家の最近の流行は手打ちうどん。

昨年末にふと思い立って始めてみたら小麦粉の質の良さも手伝って、簡単で美味しいうどん食べ放題の生活がやってきた。1kgが0.5ユーロと、素材となる食料品はほんとうに低価格で自炊がしやすい(そして加工品は高い)。

 

出汁?もちろん、鰹節と削り器のおかげで洋風アレンジについては当分考える必要はない。これもありがたく思う。

今夜も Udon ordinaire 。

«Champignon de Paris» マッシュルームを買う。

フランスは総じて食料品、特に質の良い野菜や果物が廉価かつ身近で手に入る。

東京では気軽に手を出しにくかったブラウンマッシュルームも日常に使う食材扱い。この日はふっくら大きなものが山盛りで1ユーロ(ちょっと前までは2ユーロくらいしてた)というので即買い。

白くても茶色くてもどちらが特別とかはなく、同じマッシュルーム( "champignon de Paris" / "champignon de couche” )として扱いは変わらずだった。

 

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写真はひとかごの半量。土がかなり付着しているので水洗いして水分を拭き取り乾燥するのが常。

 

マッシュルームはルイ14世の庭師に見出されてナポレオン3世の時代に地下墓地で栽培されるようになったのが始まりとか。

パリが建築ラッシュとなった頃に産地を移してロワール地方を主とするようになった今でも名称は「パリきのこ “Champignon de Paris” 」のまま。

フランス中どこでも年中安価に美味しい入手出来るのが嬉しい。ひとかご山盛り2ユーロより高いのを目にしたことはない。

 

日々の食卓にも特別なひと皿にも使えるかわいいやつであるマッシュルームの食べ方は煮込みに付け合わせにスープにソースになんでもあり。人気レシピサイト「Marmiton」で検索するとざっと8,000超も見つかる。

私のお気に入りはざっくり3等分くらいの厚めに切った炒め物か、丸のまま蕪やお揚げ、凍み豆腐と一緒に炊いたん(どれもこちらで入手可能な食材)。きのこ自体の風味も強く良い上にぷりっとした弾力と染みた味がなんとも言えない。

 

ひとかご1ユーロなら毎回買ってしまうかも。 

ごちそうさまでした。

 

<参照>

フランスの食材関連サイトはシュッとしたものが多い。

www.terroirsdechefs.com

www.lesfruitsetlegumesfrais.com

 

ラマダン、十人十色

一昨日からラマダンが始まった。
フランスに住んでいるとラマダンは日本の梅雨のような季語として、風物詩的な感覚でもって耳目に入ってくる。(もちろん、当事者のムスリムの人々にとって非常に重要な宗教行事の一つであることは承知の上で。)最近は真面目にしっかりきっちりラマダンに参加するひとが増えているとも聞く。

 

www.huffingtonpost.jp

 

ラマダンが始まるとムスリムの人はみな日中は断食、日没後はヒャッハーどんちゃん騒ぎ(若者だけに限らない)と緩急激しい1日が1ヶ月間続く。週末は寝て過ごし、夜通し起きて砂糖たっぷりのアラブ菓子やピロシキのような惣菜パン(どちらも揚げ物)を貪り食べている人もいれば、日中食事をしない他は何事もなく常と同様に過ごすようなストイックな人も少数だがいる。私の住むアパルトマン上階の住人はこれ以上ないくらいにヒャッハーだから、深夜過ぎても賑やかにやっている模様。

 

以前ラマダン期間に旅行でパリに来て驚いたのが専用スケジュール管理アプリがあること。かなりの数があり、それぞれがお気に入りのラマダンアプリを使っている。居住地域ごとに日の出日の入りに差があるからラマダンアプリはとても便利なんだそう。

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ラマダンスケジュール管理アプリ。かわいらしいUI。

 

このラマダン、全ムスリム必須かと思えば病人、妊婦、乳幼児や老人など断食が生命を危うくする状態の人は免除される他、仕事の都合でスケジュールも通りに始められない人、開始日を間違えた人(本当にいる!)などは期間をずらしてきっちり1ヶ月の断食を行えばOKとのこと。わりと寛容。公式に寛容かどうかは知らない。

 

ひと口に、ひと揃いにどうと言えないのが生きている宗教という感じで千差万別あってとても面白い。国外では豚肉食べるおおらかムスリムの存在も知られているように、マンモス西のごとく失敗する人もいたりする。聞いた話だとついついうっかりあと1週間のところで食べてしまって、ラマダン終了日の大パーティの中ひとりラマダン仕切り直し中だった人がいる。

 

パリだと今時分の日没は22時で日の出は6時前だから断食は16時間。日本にいた時には日中の断食を辛そうとは思わなかったけれど、活動時間帯のほぼ全てを水分も控えめに過ごさなければならないとはなかなか厳しい行事だ。

 

厳しいけれどそれで痩せるかといえばそうでもない。メトロの中で女子高生が「ラマダンダイエット」の話題で盛り上がっていた(去年のラマダンでめっちゃ痩せた自慢)のを目にしたけれど、実際には夜明けまでの食い溜め(もちろん揚げ物メイン)でラマダン後は太ってしまう人が多いらしい。

アラブ系パン屋ではいつも以上にアラブ菓子が山盛りでアラブ系が多い地域では夜遅くなっても駅前に市が立っていることもあり、お疲れサラリーマンであっても帰宅後の食糧に困ることはない。

そんなわけで健康的にラマダンを過ごすための医師のアドバイス記事もあれば、経済効果についての記事など話題に事欠かない。フランスだけでも人口500万を数えるムスリムだけに一大行事の感がある。


と、ここまで書いて月末にお邪魔する予定の自宅バーベキューパーティ、主催者もムスリムだったことに気付いた。はて。

 

<参考>

Ramadan: le jeûne le plus long depuis 30 ans

Ramadan : jeûner en toute sécurité - Femme Actuelle

Ramadan et grossesse - Doctissimo

Mousse au chocolat aux œufs frais - Bonne Maman(ムース オ ショコラ)

本日のおやつはフランスのスーパーで買えるカップデザートその三。

みんな大好きボンヌママン(Bonne Maman)のジャム…ではなくデザートシリーズのムース オ ショコラ <mousse au chocolat aux œufs frais>

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小さなカップ(47g)が4個セットでだいたい2.8€くらい。とても軽い。プラ容器だから余計に軽く感じたけれど、これがしっかりチョコが濃ゆいから食べでがあってカフェのお供にぴったり。


中身はこんな。

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ふわふわムースに濃いチョコレートの口どけと甘さは量産品と侮れない味。ボンヌママンのムース オ ショコラはフランスのグルメサイトでも高評価をされていたので、グラスなどに盛ったら見栄えがして友人知人と家カフェするときにも良さそう。

 

フランス来た途端にこういうおやつで満足できるようになってしまったけど、カップデザートがどれも美味しいからさもありなん。

ごちそうさまでした。

 

<参考>

Les Desserts Bonne Maman : des desserts de toujours pour tous les jours

 

«Oignon nouveau» フランスの新玉ねぎ(赤)を買う。

そんなに広くないパリとその近郊の中でもマルシェごとに土地柄があり店ごとにも取り扱う商品や値段が違う。いつどこでマルシェが開かれているかがわかるスマホ向けアプリまである(使ったことはない)。専門カテゴリーのマルシェを除けば、乳製品、鮮魚、肉、怪しい雑貨を売る店などなどあるけれど基本的にマルシェのメインは野菜を扱う店で、店先に並んだ野菜や果物の季節ごとの変化を眺めるのがとても面白い。

マルシェに行くたびに試したことのない野菜を買うことにしていて、今回は日本でも見かけた気がするようなしないような野菜を手にとってみた。商品札になんと書いてあったかは忘れてしまったけれど、画像検索してみたら
«Oignon nouveau» いわゆる新玉ねぎ(赤) だった。

 

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フランスでは新玉ねぎに限らず葉を切り離さないで売られていることが多く、実と葉それぞれの部位をどうやって食べるのかを考えるのは割に楽しい行為だったりする。そしてこの新玉ねぎ、実際に調理してみるとこれがなかなか使い勝手が良い。

玉の方は普通に新玉ねぎとして水にさらして鰹節と醤油またはバルサミコ酢をかければいくらでも行けるくらいさっぱり甘みがあって美味しい。
一方の茎・葉は青ネギやニラの代わりに使っても良いし(今回は餃子に使用)、茹でても歯ごたえがしっかり残るのでナムルにしたらシャキシャキした食感が残ってとても気に入った。

フランスで新玉ねぎは4月から7月がシーズンなので、まだあとひと月は楽しめそうで嬉しい。

Petit-suisse まるでチーズケーキ。

今日のおやつはなんだろな、ということでフランス生まれのフレッシュチーズ、Petit-suisse(プチ・スイス)を。

 

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フランスではとてもポピュラーなデザートチーズで、一食分(60g)にパック分けされた6連パックが1.5〜3ユーロ程度でスーパーのチルドコーナーに置いてある。いろいろなメーカーから出ているけれどインターマルシェなどスーパーのPB製品でも十分に美味しい。

チーズというよりも濃厚なヨーグルトといった味わいで、ヨーグルトと比べて水分が少なくぎゅっと凝縮されているから食感、風味はまるでレアチーズケーキのよう。

シリンダーから押し出してそのままカットしたような円柱形がかわいらしく、パックの中で紙にくるまれていて(そうでないものもある)、その端をつまんでクルクルクルっとお皿に出す。これがちょっと楽しい。

 

食べ方はシンプルで、ジャムや蜂蜜をかけてデザートとするか塩胡椒にハーブを足してお酒のお供として楽しむのが定番。ちょっとしたデザートが欲しい時など簡単で美味しい Petit-suisse は冷蔵庫に常備しておくと何かと嬉しい。季節ごとに入れ替わるマルシェの果物で作ったジャムからどれを合わせるのか選ぶのもこれまた楽しい。

 

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白いチーズに色鮮やかなソースはなんでも似合ってよく映える。

 

この Petit-suisse、スイスがオリジナルではなく北フランスのノルマンディで作られ始めた完全フランスオリジナルらしい。乳製品といえばスイスが最高品質というイメージを借りた直球なネーミングだけど、フランスでもこういうものがあるのがなんだか面白い。

 

<参考>

Petit Suisse - Fromages de Normandie - Taste Camembert

ボブン(Bo-Bun)、フランスのお気に入り

フランスに来て、また好きな料理がひとつ増えた。フランスのとてもカジュアルなヴェトナム料理、ボブン(Bo-bun)だ。

 

こちらに来てからというもの日本食を恋しく思うこともなく食生活に馴染んでいる。といっても、アジアからの移住者も多いフランス、中華街もアジア人街もあるパリでは肉と乳製品から外れた食事が普通に食べられるのでそこは大きい。

 

この日は外出中のお昼にアジア系ごはんが食べたくなり、ならばとBelleville へ。Belleville はアジア人街といっても聖母教会とアラブ商店がお隣さんですぐ裏にはユダヤ寺院があったりセネガル系のバーがあったりする雑多な、いかにもパリらしいエリアのひとつ。

いつも Belleville では肉まんを買い食いしたりバインミー(bánh mì)を頬張ったり、あるいは排骨麺や海老雲呑スープの湯気でもうたまらん。たいていはメトロに乗っている間に食べたいイメージができて、改札を出て階段をあがったら食べたいお店に一直線する。

5月も半ばを過ぎ夏の空気が混じってきたからなんとなくヴェトナム料理の気分になり、話に聞いていたボブンにしようということになった。

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このボブン、元はヴェトナム南方のサラダ料理がフランスに来て、早くて簡単・美味しい丼物へ変化したものらしい。冷やしたバーミセリ(米粉の麺)の上にレタス、茹でた海老や薄切り牛肉にもやし、人参なます、細切りきゅうりとたっぷりパクチー他香草を乗せた上に砕いたナッツをまいてヴェトナム揚げ春巻きをのせ、ニョクマムベースのソースが美味しいボリュームたっぷりの丼。

スイートチリソースっぽい甘辛の味に香草の風味、春巻きのパリパリ、ナッツのカリカリ、しっかりした海老とお肉、細いバーミセリのつるるんとした食感がたまらない。見た目から味から食感からお気に入りのひと皿(丼だけど)になった。

 

お店にはアジア系でない客層の方が多く、みんな上手にお箸を使って楽しそうに食事をしていたのが印象的だった。パリのカフェごはんやレストランなど外食は本当に高いし、こういうお手軽でボリュームのある(肉もしっかり!)美味しいアジアご飯はフランス人も大好きのよう。

Figaroのサイトで特集が組まれていたり、この味が忘れられないイギリス人旅行客がUKではどこで食べられるのか?とYahoo! Answersに投稿していりするのを見かけた。すっかり虜ですな。

answers.yahoo.com


すこし調べたところ、ボブンを出すお店はパリにはいくつもあるがヴェトナムや東京でこの丼形式のボブンを出しているお店は似たようなものはあれど(丼でなくプレートとか具が小皿に分けて出されるなど)見当たらなかった。
丼ボブンはフランス的なヴェトナム料理なのかもしれない。

 


<参考:Bo-Bunのお店・レシピなど>

Les meilleurs bo bun de Paris | Le Figaro.fr
Bo Bun (Vermicelles de riz au boeuf sauté) ou Bò bún / Bún bò nam bộ | La kitchenette de Miss Tâm
Bo-Bun Royal | De vous à moi...