Riz et Viande 日々是甘味

東京・パリ。ひねもす読書人間のフランス移住日記

ラマダン、十人十色

一昨日からラマダンが始まった。
フランスに住んでいるとラマダンは日本の梅雨のような季語として、風物詩的な感覚でもって耳目に入ってくる。(もちろん、当事者のムスリムの人々にとって非常に重要な宗教行事の一つであることは承知の上で。)最近は真面目にしっかりきっちりラマダンに参加するひとが増えているとも聞く。

 

www.huffingtonpost.jp

 

ラマダンが始まるとムスリムの人はみな日中は断食、日没後はヒャッハーどんちゃん騒ぎ(若者だけに限らない)と緩急激しい1日が1ヶ月間続く。週末は寝て過ごし、夜通し起きて砂糖たっぷりのアラブ菓子やピロシキのような惣菜パン(どちらも揚げ物)を貪り食べている人もいれば、日中食事をしない他は何事もなく常と同様に過ごすようなストイックな人も少数だがいる。私の住むアパルトマン上階の住人はこれ以上ないくらいにヒャッハーだから、深夜過ぎても賑やかにやっている模様。

 

以前ラマダン期間に旅行でパリに来て驚いたのが専用スケジュール管理アプリがあること。かなりの数があり、それぞれがお気に入りのラマダンアプリを使っている。居住地域ごとに日の出日の入りに差があるからラマダンアプリはとても便利なんだそう。

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ラマダンスケジュール管理アプリ。かわいらしいUI。

 

このラマダン、全ムスリム必須かと思えば病人、妊婦、乳幼児や老人など断食が生命を危うくする状態の人は免除される他、仕事の都合でスケジュールも通りに始められない人、開始日を間違えた人(本当にいる!)などは期間をずらしてきっちり1ヶ月の断食を行えばOKとのこと。わりと寛容。公式に寛容かどうかは知らない。

 

ひと口に、ひと揃いにどうと言えないのが生きている宗教という感じで千差万別あってとても面白い。国外では豚肉食べるおおらかムスリムの存在も知られているように、マンモス西のごとく失敗する人もいたりする。聞いた話だとついついうっかりあと1週間のところで食べてしまって、ラマダン終了日の大パーティの中ひとりラマダン仕切り直し中だった人がいる。

 

パリだと今時分の日没は22時で日の出は6時前だから断食は16時間。日本にいた時には日中の断食を辛そうとは思わなかったけれど、活動時間帯のほぼ全てを水分も控えめに過ごさなければならないとはなかなか厳しい行事だ。

 

厳しいけれどそれで痩せるかといえばそうでもない。メトロの中で女子高生が「ラマダンダイエット」の話題で盛り上がっていた(去年のラマダンでめっちゃ痩せた自慢)のを目にしたけれど、実際には夜明けまでの食い溜め(もちろん揚げ物メイン)でラマダン後は太ってしまう人が多いらしい。

アラブ系パン屋ではいつも以上にアラブ菓子が山盛りでアラブ系が多い地域では夜遅くなっても駅前に市が立っていることもあり、お疲れサラリーマンであっても帰宅後の食糧に困ることはない。

そんなわけで健康的にラマダンを過ごすための医師のアドバイス記事もあれば、経済効果についての記事など話題に事欠かない。フランスだけでも人口500万を数えるムスリムだけに一大行事の感がある。


と、ここまで書いて月末にお邪魔する予定の自宅バーベキューパーティ、主催者もムスリムだったことに気付いた。はて。

 

<参考>

Ramadan: le jeûne le plus long depuis 30 ans

Ramadan : jeûner en toute sécurité - Femme Actuelle

Ramadan et grossesse - Doctissimo