Riz et Viande 日々是甘味

東京・パリ。ひねもす読書人間のフランス移住日記

買い物の楽しみ

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«Est-ce qu’il y a vraiment tant d’atmosphères dans les romans d’Agatha Christie ? ...Guidé par une main de fer, on fait comme devant toutes les autorités abusives ...On se fait sa cuisine, et on la trouve délicieuse. » ※

 

慎重に検討中の買い物途中で全く別方向のアプローチで魅力的な出物があった。先行しているものの全てが優っているわけでもなく、実用的か官能的かという二者択一というわけでもなく。

 

こうして悩めることがとても楽しく、自分の妄想力が迸るのを感じて嬉しくなる。どんなものを買う時でも出会い頭に即決即断即購入するのはもったいないと、煩悶する日々をこれ以上なく味わうのが常だけれど、今回の買い物はいつも以上に美味しい。

 

探しているから当たるということもあるだろうけど、出物に当たるのはその機運が巡っているということだと思う。

あぁ、どちらにしようかな、なのなのな。

 

 ※ citation de Philippe Delerm "Un Roman d'Agatha Christie"

 

ヒジャブとiPhone

フランスにはムスリムの人々が多く住んでいる。人口のおよそ8%を占めているようで、パリとその近郊は特に多い。ヒジャブと呼ばれる布で頭部を覆い、足首まで隠す長さのワンピースをまとった老若の女性と日々すれ違う。 

 

ヒジャブも人により様々な布を様々な方法で思い思いに巻いていて(大抵マチ針で止めている)、実に美しい。こちらに来て日も浅くまだ飽きのこない私などはつい目で追ってしまうのであるが、昨日見かけた女性はiPhoneを差し込んでいて確認のため思わず二度見してしまった。

 

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額にぴったり巻きつけたヒジャブでiPhoneを抑えて(おそらく)内側で耳にかけて支え安定しているその姿に熟練の様子がうかがえた。

 

 

天気が読めない

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ここのところ、晴れと曇りと雨と雷のまじった全部載せといった風情の天気が続いている。Météo France のアプリに表示されるお天気マークはどう見ても不吉。晴れ晴れとした午前の後に曇り時々通り雨とおまけで雷。

 

我が家の愛すべき隣人、管理人カルロスと愛犬チェンボにとって天気は重要な問題だ。雨の時の彼らの背中には哀愁が漂っている。

 

早く湿度が低く日陰に移動すると過ごしやすくて冷えた白ワインが美味しいお天気続きの夏が来ますように。

心が躍る

「明るくなってきたので、今度はアペロしましょうね!」

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先日、友人からもらったメールの最後の一文にあった「アペロ」。一体なんのことかとちょっと調べたら、ああ、あれね、と。要は、ワインと軽食とでわいわいやること。"Apéritif"(食前酒)を略して "Apéro"。

 

夕ご飯の前に庭やベランダ、公園などでのんびり時間を過ごすのがいいらしく、初夏から秋の日が短くなるまでの間は特にみなさまお誘い合わせの上の楽しみといった印象。

 

確かに、冬に暖炉の前で人が集まるのを待ちながら他愛もない話をするのも良いけれど、20時を過ぎてもまだ明るいこの時期の屋外にワインとパンとチーズで夏が来たことを一緒に喜ぶのも、また良い。

 

最近のお気に入りは近所の公園の芝生。きれいに養生されているのに立入ご自由なのがフランス的。

riz au lait nature - La Fermière(お米のデザート)

フランスのスーパーに並ぶお菓子は変化が少ない。セーヌ沿いを昼休みにジョギングしている紳士が子供の頃からラインナップは変わらないと言ってもいいくらいで、実際、週毎に新商品が出るような日本と比べると棚では定番商品が幅を利かせている。

お店の仕入れ状況による(ほんとに、これに尽きる)棚の変化もそこそこありつつ全体でかなりの種類があって、特にチルドコーナーのカップデザート類はなかなかの品揃えなのが甘党に嬉しい。いつもシャレオツパティシエデザートばっかり食べているわけにはお財布事情が許さないのだ。

これは少しずつ試していけばそのうち制覇できるかな?と、まずは定番中の定番 "Le riz au lait" というお米のデザートを本日のおやつに。十字軍の時代からあると言う牛乳と砂糖でお米を煮たもので、今は冷やして食べるのが主流なのかな。

 

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今回は "la fermière" のベーシックなもの。ガラスのヨーグルトケースにクラシックな雰囲気のパッケージに惹かれて手に取ったのだけど特に老舗というわけではなかったので逆に期待できる、と思ったらこれが当たり。以前食べた時はひと口でゴメンナサイしてしまったけどこちらはクリームが中々美味しく「米が甘い!」の違和感に引きずられずに最後のひとすくいまで行けて満足。かなり量が多くて難儀したけど。

というのも le riz au lait はものすごくお腹にたまる(クリームとお米だから…)。"BOSS" というブランドの缶詰が昔からあって、それは「缶切りとスプーン1本ですぐ食べられるインスタント食品」感覚の人もいるらしい。さすがにそれは無理だけど、そのうちできるようになってしまうかもしれない予感もあったりなかったり。

 

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ごちそうさまでした。

 今度は何を食べようか。

 

 

到着した日のこと。

東京での諸事を忙しなく片付けて、気が付いたら機上の人となりあっという間にフランスの玄関口に到着した日のことがつい昨日だったか一昨日だったか記憶は日々あやふやになっているのだけれど、とにかくこの日は大振りの雨に降られたこと、駅の階段でやたらと重いトランクを持ち上げられずにもたついていたら見知らぬ紳士が運びあげてくれたことだけはよく覚えている。

翌日から2週間くらいはインフルエンザかと思うくらいひどい風邪に寝込んで熱に浮かされながらの移住生活開始となった。とほほ。

 

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<Météo du jour>

Temps: Pluie

Témperature: 11.0 

Pluie: 4.3 mm / 1h

Humidité: 92 %

Pt de rosée: 9.7 ℃

Vent moyen: 6 km / 1h

Pression: 994.7 hPa

Visivilité: 5 km